- 2025年08月18日本R7/1-6
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==星の数は自分に合ったかどうかにより、作品の一般的評価からは外れています==
2025年
1月「雲をつかむ死」アガサ・クリスティー ★★★★
原題は、Death in the Clouds。これを「雲をつかむ死」と訳すとは、なかなかのものです。「眠狂四郎無情控」(上)(下)柴田錬三郎 ★★★☆
数十年ぶりの柴錬。安く売っていたので。「バトルランナー」スティーブン・キング ★★★★★
1972年に書かれた2025年を舞台にした物語。本書の2025年は酷いディストピアで、現実の2025年とは違うわけですが、それでもどこかに共通点はないかと探してしまいます。ちなみに”9.11”は2001年。「夢殿殺人事件」小栗虫太郎 ★★☆
①『後光殺人事件』②『聖アレキセイ寺院の惨劇』③『夢殿殺人事件』④『失楽園殺人事件』⑤『オフェリヤ殺し』⑥『人魚謎お岩殺し』の短編6作品が収められています。①②⑤の三作は30以上前に読んだはずですが、何も覚えていませんでした。トリックはあり得ないというか、読んでも分からないというか。そもそも状況の描写が伝わりにくいのですが、日本推理小説の古典としての雰囲気を楽しむ作品。「スリーピング・マーダー」アガサ・クリスティー ★★★★
18年前に起きていた眠れる殺人事件を解き明かしていくお話しです。ミス・マープル最後の事件。***** 皇后杯 決勝 *****
1/25 エディオンピースウイング広島
アルビレックス新潟レディース1-1(PK4-5)三菱重工浦和レッズレディース
準優勝2月
「(改訂完全版)暗闇坂の人喰いの木」島田荘司 ★★★★
御手洗潔シリーズらしい作品。細かいつっこみはなしで、面白かったです。
以前読んだ『キマイラの新しい城』に目を通してみたくなったのですが、手元に残っていませんでした。「マーダーボット・ダイアリー」(上)(下)マーサ・ウェルズ ★★★★★
『弊機』なる一人称により語られるお話です。『弊機』は、(そうとは書かれていませんが)サイボーグのようなもので、自我、感情、知性を持っていますが、その考え方は人間とは少し違います。『弊機』のキャラクターに則って、文は短く簡潔。説明なく出てくるよく分からないSF的用語にもつっかえずに、さくさく読めます。最近多いように感じる、(それらが全てダメとは言いませんが)時間や空間を行ったり来たりする構成や、終盤のどんでん返しみたいな技巧もなく、大変好感が持てました。「ペッパーズ・ゴースト」伊坂幸太郎 ★★★☆
すぐ前に読んだ『マーダーボット・ダイアリー』のシンプルな構成がよかったと言ったばかりですが、こちらはかなり技巧的です。それがちゃんとうまくまとまってくれているのでOKです。それでも本書は、完成度より、作者が楽しんで書くことを優先した印象です。メタ的要素は、そのエクスキューズなのかもと思いました。「クリスマス・プディングの冒険」アガサ・クリスティー ★★★☆
ポアロ物5編。マープル物1編。「多元宇宙論集中講義」野村泰紀 ★★★★☆
マルチバースはSFの中の夢物語ではないということです。素粒子の種類も質量も、真空のエネルギー密度も空間の次元も異なる宇宙が無数に生まれ続けるとは想像することさえ難しいです。が、本来なら難しいこうした話をかなり分かり易くまとめていて、読みやすいです。「暗黒公使」夢野久作 ★★★☆
『ドグラ・マグラ』であまりにも有名な夢野久作氏が、デビュー前に書き始めていたという作品。かなり無茶な設定、筋立てですが、氏のテイストは味わえます。3月
「ドラゴンの歯」エラリー・クイーン ★★★★
聞いたことのない作品ですが、なかなかの佳作でした。「ディプロトドンティア・マクロプス」我孫子武丸 ★★★★★
主人公は探偵で、当然事件に関わるのですが、全く予想外の展開となります。我孫子氏の作品は結構好みです。「もの言えぬ証人」アガサ・クリスティー ★★☆
ポアロらしからぬ解決はまぁいいとして、唖然とする殺人方法、犯人特定の説得力のなさ、(登場人物達の描き方は上手いのですが)薄い内容。ちょっと悪く言い過ぎかもしれませんが、今一でした。
これで、クリスティーの未読ミステリはあと20冊です。「青の炎」貴志祐介 ★★★
主人公にいろいろな役割や感情を詰め込みすぎて、キャラがパンクしているように思いました。「九人と死で十人だ」カーター・ディクスン ★★★★☆
ジョン・ディクスン・カー名義による『火刑法廷』『三つの棺』は、自分にはそこそこだったのですが、これは面白かったです。「奇想、天を動かす」島田荘司 ★☆
4月
「パーカー・パイン登場」アガサ・クリスティー ★★☆
短編12作品。序盤は毒のない喪黒腹蔵のような感じですが、次第にスパイスが効いてきて、様々な事件に関わっていきます。ミス・レモンやオリバー夫人が登場したり、『ナイル河上の死』の原題が”Death on the Nile”で、『ナイルに死す』と同じであったりします。「怪盗不思議紳士」我孫子武丸 ★★★☆
舞台演劇が元となっており、登場人物は少なく、場面も限られています。が、それ以上に作品の内容自体が少し窮屈なように感じました。「ネットワーク・エフェクト マーダーボット・ダイアリー」マーサ・ウェルズ★★★★☆
前作『マーダーボット・ダイアリー』が上下巻で4編を収めていたのに比べると、1話で1巻、500頁越えのやや長いエピソード。そのせいか、あるいは人間臭ささがました主人公のせいか、独白的感情表現や皮肉が増したようで、少し抵抗がありました。前作の方がより抑制的でよかったです。またSF的表現による電脳闘争も前作より理解しづらく感じました。しかし、スピード感のある展開に引き込まれ、一気に読みました。この辺は上手いです。「雪密室」法月綸太郎 ★★★★
細かいツッコミどころはありますが、それを言うのは野暮でしょう。面白かったです。解説によれば、氏の作品は試行錯誤というか挑戦的というか、いろいろな作品があるらしいです。も少し読んでみたいと思いました。「復習の女神」アガサ・クリスティー ★★★
『カリブ海の秘密』の続編ということで、既読の『カリブ海-』をざっと読み直してから取りかかりました。『第三の女』と同じく、解くべき謎が分からないまま話が進みます。円熟味のある作品ではあります。「生首に聞いてみろ」法月綸太郎 ★★★★
よく出来ています。昔だったら、もっとお気に入りになっていたかもしれません。近時、好みが変わってきたような気がします。5月
「フランケンシュタイン」メアリー・シェリー ★★★★☆
世界で最も知られたモンスターの一つ。原作となる200年以上前(!)に書かれた古典です。着想、構想は秀逸。人造人間の悲哀が書かれていることは知っていましたが、予想以上に人造人間と科学者双方の苦悩が書かれ、現代の感覚ではくどい程です。時代を感じさせるところですが、名作と言っていいでしょう。
ちなみに作中で、怪物である人造人間には名前がありません。『フランケンシュタイン』は人造人間を生み出した科学者の名前です。知りませんでした。「同志少女よ、敵を撃て」逢坂冬馬 ★★★★
第二次大戦の独ソ戦についての知識が乏しかったので、戦闘の背景、推移などなかなか興味深かったです。独ソ両者の対立を単純化せず、複数の視点を与えつつもあまり深入りしないバランス加減もよかったと思います。難を挙げれば、主人公の二つの行動原理の内、復讐は分かるとして、女性を守るというのが理解に苦しみました。そこら辺は考えずに読むのが吉です。重く扱いにくい題材だったと思いますが、軽く読みやすく書かれていました(それ故に賛否もあるのでしょうが)。「アクナーテン」アガサ・クリスティー ★★★☆
戯曲です。古代エジプトのアマルナ改革を取り上げています。昨秋『ファラオの密室』を読み、万代島美術館の『エジプト典』に行って、多少は知っているところだったので、思い出しながら読みました。
クリスティーは小説中でも会話文の上手さに定評があるので、戯曲も得意なんだろうな、と感じました。「乱れからくり」泡坂妻夫 ★★★★
マジシャン作家、泡坂妻夫らしい秀作。最初に探偵への依頼人が死んでしまうのですが、死因は乗った車に隕石が当たったため。前代未聞の幕開けです。最後の種明かしでは、意外性はなくともきれいに収束します。鮮やかな手並みです。「白薔薇殺人事件」クリスティン・ペリン ★★★
なかなか読ませます。で、どこが良いかと考えると何故か不満点ばかり浮かびます。何か、人気の出そうな小説、売れそうな小説の要素をうまく詰め込んで、見栄えをよくしたけれど、芯が通っていない感じ、作者の想いが伝わらない感じ、というのは厳しすぎるでしょうか。「逃亡テレメトリー マーダーボット・ダイアリー」マーサ・ウェルズ ★★★★★
200頁の表題作『逃亡テレメトリー』の他、短編(ショート・ショート)2編を収録。
よかったです。「法月綸太郎の冒険」法月綸太郎 ★★★★☆
短編7作。それぞれが挑戦的で面白かったです。「システムクラッシュ マーダーボット・ダイアリー」マーサ・ウェルズ ★★★☆
自分もすっかりマダボファンになったかのようですが、本作は今一でした。6月
「死神の精度」伊坂幸太郎 ★★★★☆
連作短編6作品。上手いです。「マン島の黄金」アガサ・クリスティー ★★★★
短編12作。初期の作品が多く、バラエティに富んでいます。『崖っぷち』『孤独な神様』『白木蓮の花』がよかったです。表題作『マン島の黄金』は観光客誘致のための宝探しゲーム用台本。謎解きとしては不完全だし、読み物としては見所がなく、作者の足跡を辿る資料的作品というところでしょうか。ちなみに本の原題には、別の作品が使われていて、『WHile the Light Lasts and Other Stories』(光が消えぬかぎり 他)です。『マン島-』の方が売れそうなタイトルに思われたのでしょう。「日本以外全部沈没 パニック短編集」筒井康隆 ★★★☆
いろいろとぶっ飛んでます。「アルテミス」(上)(下)アンディ・ウィアー ★★★☆
読みやすく、テンポもよくて面白かったです。が、傑作というほどでは…。「頼子のために」法月綸太郎 ★★★★☆
自分もミステリー読者として大分スレてきたようで、2~3頁で仕掛けが浮かんでしまいましたが、だからダメということは全くなくて、練られた工夫に楽しませてもらいました。
巻末の、解説に代わる手紙形式の文章は、書いてもらう人を間違えたと思います。「三幕の殺人」アガサ・クリスティー ★★★☆
ポアロものですが、クィン氏のシリーズに出てくるサタースウェイト氏が登場していることに驚きました。ドラマは見ていたはずなのですが、覚えがありませんでした。おまけの備忘録
7/5 サンガスタジアム 京都2-1新潟
ダニーロ・ゴメスのコールで先制するも、逆転負け。
逆転されてからは点取れる気がしなかった。
- 2025年01月17日本R6/7-12
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==星の数は自分に合ったかどうかにより、作品の一般的評価からは外れています==
7月
「オーラリメイカー[完全版]」春暮康一 ★★★★
場面が変わる度に地球標準年なるものが書かれているのですが、最初は頭に「-(マイナス)」があることに気がつきませんでした。地球標準年について考えるともやもやした気分になるので、とりあえず無視します。中身は壮大で魅力があります。表題作の外に『虹色の蛇』『滅亡に至る病』が収録されています。独立した話ですが、同じ世界観に立っています。「ローマ帽子の謎」エラリー・クイーン ★★★☆
既読と思ってましたが、違ったようです。「煙の殺意」泡坂妻夫 ★★★★☆
ユニークで多彩な短編集。「邪悪の家」アガサ・クリスティー ★★★★☆
ドラマで2回は見ているはずですが、結構忘れているものです。8月
「ロートケプシェン、こっちにおいで」相沢沙呼 ★★☆
『午前零時のサンドリヨン』の続編。前作もミステリ要素薄めでしたが、更に後退しています。フルネーム不明の人物が多く、叙述トリック的なオチはつい予想してしまったのですが、意外性はあっても、ややキレがなかったかもです。部分的には、大昔に読んでほとんど忘れかけている『赤頭巾ちゃん気をつけて』を思い出しました。こういう作品を高校生年代の人が読んだ時、どのように感じるのでしょうか。「文豪たちが書いた殺しの名作短編集」彩図社文芸部編 ★★★★☆
小川未明、谷崎潤一郎、太宰治、芥川龍之介、坂口安吾らによる殺人を題材にした作品集です。知らない話ばかりでした。「殺人は癖になる-メソポタミアの殺人-」アガサ・クリスティー ★★★☆
創元推理文庫版です。ハヤカワ版のタイトルは『メソポタミヤの殺人』で、こちらが原題に沿っています。作品は本格王道。ただし動機に苦労したかもしれません。「長い別れ」レイモンド・チャンドラー ★★★
いかにも(かつての)アメリカンという感じのハードボイルド。自分が書名を知っているくらいの有名作品。最初はとてもかっこよく思えた文章も、次第に抵抗感が出てきて、あもり好みではありませんでした。「明智恭介の奔走」今村昌弘 ★★★★
『屍人荘の殺人』の前日譚となる短編5編。『屍人荘-』で独特の存在感を放つ明智さんには、やはりそれなりに人気があったということなのでしょう。『手紙ばら撒きハイツ事件』の若さあふれる明智さんがよかったです。「皆勤の徒」酉島伝法 ★★
表題作を含む短編4話。『第2回創元SF短編賞』『第34回日本SF大賞』『”SFが読みたい2020年版”2010年代第1位』だそうです。
読みながらSFの”S”cienceとはなんだろう、本書にそれはあるのだろうかと、つまらん考えに囚われ続けてしまいました。解説で本書はSFだと強調するのを見て、逆にその思いを強くしました。
こういう読み物もあってよいと思いますが、これが現在日本SFの辿っている道だとしたら、他に読むものを探さねばなりません。9月
「秘密組織」アガサ・クリスティー ★★★☆
創元推理文庫版です。ハヤカワ版のタイトルは『秘密機関』。トミーとタペンスの登場第一作で、若い二人の活躍が好ましいです。が、序盤から中盤は今一盛り上がりに欠けるというか、テンポがよくないかもです。「黒いトランク」鮎川哲也 ★★★★
アリバイ崩しもの。トリックはかなり複雑で、巧妙、精緻なんですが、細部は気にせず気楽に読むのが吉。テンポよく謎が提示されつつ明かされていきます。「マルタの鷹」ダシール・ハメット ★★★☆
ハードボイルドの草分け的作品。何となく牧歌的。「面白すぎて時間を忘れる宇宙の話」武内馨 ★★★☆
「ファラオの密室」白川尚史 ★★★☆
実は読後の感想としては、も少し星を少なくしていたのですか、10月下旬に万代島美術館の『エジプト典』に行き、小説の題材や背景の元を見たらまた感じ方が変わりました。「リスタデール卿の謎」アガサ・クリスティー ★★★★
12作からなる短編集。『ナイチンゲール荘』が秀逸でしたが、読んだ覚えがあり確かめたら、世界推理短編傑作集3に『夜鶯荘』の名前で載っていました。10月
「時計館の殺人」(上)(下)綾辻行人 ★★★☆
「幼年期の終わり」アーサー・C・クラーク ★★★★☆
本書のことは知っていましたが、哲学的と書かれていたのが気になり、優先順位を下げていました。それが「時計館の殺人」の中で名前が挙がっていたことから、ついに手に取りました。特に小難しいこともなく、普通以上にエンターテイメントとして楽しめました。最後はちょっと冗長に感じましたが。「AX アックス」伊坂幸太郎 ★★★★★
『グラスホッパー』『マリアビートル』の姉妹編となる殺し屋ものですが、趣は大分異なります。「エッジウェア卿の死」アガサ・クリスティー ★★★★
ドラマで大体知っていたので、謎解きの楽しみはなかったのですが、初期クリスティーのエネルギーあふれる凝った作品と思いました。ヴァン・デューセン夫人という名前にはビックリしました。「秘太刀馬の骨」藤沢周平 ★★★★☆
人間模様と剣技の描写がいいです。背景となる藩のごたごたはなんだかピンとしませんでしたが。11月
「クロイドン発12時30分」F・W・クロフツ ★★★★
終盤の法廷場面は、もっと絞り込めるのではと思いましたが、検察側、弁護側双方が説得力ある論陣を張り、作者一人がこの両方を考えていると思うと感心してしまいました。「8の殺人」我孫子武丸 ★★★★
事件発生。関係者取り調べ。容疑者。第⒉の事件。……と、展開は実にオーソドックスですが、コミカルな描写により飽きさせません。トリックや犯人当てについても(厳しいことは言いますまい)よかったです。知らない古典作品が多数触れられていて、それに対する注釈も面白かったです。「スペイン岬の秘密」エラリー・クイーン ★★★★☆
半ば過ぎまでAが犯人と思っていたのに、作者の罠にはまり、逆にAが犯人っぽく見えるのが罠なのかなどと思い始めて、結局は……。いや、いい作品でした。
これで国名シリーズも読み終わりました。「法治の獣」春暮康一 ★★★★★
『主観者』『法治の獣』『方舟は荒野を渡る』の3編。『方舟は…』が一番よかったです。「ロンドン・アイの謎」シヴォーン・ダウド ★★★★
少年少女向け作品ということです。小学生の頃に読んでみたかった。「幸村を討て」今村翔吾 ★★★★
なかなか工夫されていると思いましたが、『塞王の楯』のような情熱には欠けていたかもしれません。「シタフォードの秘密」アガサ・クリスティー ★★★
ミステリなのですが、冒険活劇的な要素も感じられます。
本作に”エヴァンズ”という名の登場人物がいて、オヤとさせられました。***** JリーグYBCルヴァンカップ *****
11/2 国立競技場
名古屋グランパス 3-3(PK戦:5-4) アルビレックス新潟12月
「秋雨物語」貴志祐介 ★★★☆
『餓鬼の田』『フーグ』『白鳥の歌』『こっくりさん』の4編。
手軽にさくっと読めるホラーですが、読み手をぐいぐい引き込む力は大したものです。「われらはレギオン4 驚異のシリンダー世界」(上)(下)デニス・E・テイラー★★★★
『われらはレギオン1~3』の続編。初めのうちは、『1~3』を何度も見返しながら読んでいました。些末なことながら、以前は富に対して無関心だった主人公達(?)が、財をなし、これを守ろうとしている様子には、変わったなぁと思わされました。「寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁」島田荘司 ★★★★
よかったですが、一つ言わせてもらえば、日本海に朝日は昇りません。「運命の裏木戸」アガサ・クリスティー ★★★
クリスティーが最後に執筆(発表ではない)したという作品。老境に入ったトミーとタペンスのお話。老いた二人のやりとりを楽しんでいると、図らずもクリスティーの老いに気付かされてしまいました。トミーとタペンスシリーズは完読です。「出雲伝説7/8の殺人」島田荘司 ★★★★
島田荘司氏と言えば、バラバラ殺人!?「最上階の殺人」アントニイ・バークリー ★★★★★
快作!バークリーの作品にみられる批判精神はしっかり持たせつつ、それを包み込んで見せつけないようにしているというか、上手く言えないけ~れ~ど、そんな作品。
- 2024年07月30日本R6/1-6
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==星の数は自分に合ったかどうかにより、作品の一般的評価からは外れています==
2024年
1月「亜愛一郎の狼狽」泡坂妻夫 ★★★☆
バラエティに富んだ短編作品集。呻るようなトリックがあるわけではないですが、癒やされるというか、読んで楽しいミステリーです。「マギンティ夫人は死んだ」アガサ・クリスティー ★★★★
ゆったりした序盤から加速していきます。「三つの棺」ジョン・ディクスン・カー ★★★☆
書内の『密室講義』で、トリックに対する”ありえない”との批判を批判しているのですが、現実的かどうかはともかく、物語を成立させる説得力があるかはやはり大事だと思います(単にトリックの善し悪しだけでなく、筆の力にもよります)。で本書ですが、いくつか欠点はあると思います。しかし確かによい所もあるのです。「受験生は謎解きに向かない」ホリー・ジャクソン ★★★★
『自由研究には向かない殺人』の前日譚。160頁と短めですが、工夫が凝らされてます。主人公の魅力は『自由研究-』には及ばないですが、らしさは感じられます。「でぃすぺる」今村昌弘 ★★★☆
2月
「無実はさいなむ」アガサ・クリスティー ★★★★★
ポアロもマープルも出ない、いわゆるノンシリーズもの。円熟味があります。「白亜紀往事」劉慈欣 ★★★★
『老神介護』に収められた短編のロングバージョン。壮大なおとぎ話です。
『鋼鉄紅女』に失望して以来、読んだSFは劉慈欣だけですね。読みたいSFに出会わないです。「湖底のまつり」泡坂妻夫 ★★★★☆
作者の他の作品とは一線を画す異色作。話は予想外の方向へ進みますが、最後にはちゃんと収束します。「人形館の殺人」綾辻行人 ★★☆
「死の猟犬」アガサ・クリスティー ★★★★
毛色の変わった短編集。面白かったです(解説は除く)。3月
「悪の教典」(上)(下)貴志祐介 ★★★★★
すがすがしいまでの主人公の悪人ぶりです。しかし舞台となる学校の先生もかなりひどいです。最後の一文には驚かされました。「世界推理短編傑作集5」江戸川乱歩・編 ★★★★★
全5巻の最終巻です。粒ぞろいの作品群。「午前零時のサンドリヨン」相沢沙呼 ★★★★
ニュートリノですか。ところで須川君のファーストネームは何だったのだろう。「チムニーズ館の秘密」アガサ・クリスティー ★★☆
登場人物が多い上に、変わった名前で頭に入りませんでした(年のせいかも知れないですが)。人物の個性や魅力も今一。「七つの時計」の姉妹編だとか。しかし「七つの時計」すっかり忘れています。また読んでみようかな。「七つの時計」アガサ・クリスティー 【評価済み】
「マリアビートル」伊坂幸太郎 ★★★★★
伊坂氏の作品はかなり前に『アヒルと鴨のコインロッカー』を読んで以来です。『アヒル-』の巧みさには舌を巻いたのですが、自分には合わないように感じて、遠ざかっていました。本書も前半は”ちとどうかな”と思ったのですが、次第に面白くなり、加速するように読み終えました。4月
「チャイナ橙の謎」エラリー・クイーン ★★☆
うーん、いろいろと今一です。「エアーズ家の没落」(上)(下)サラ・ウォーターズ ★★★☆
原題は”The Little Stranger”。この本は(原題も含め)、一貫した解釈を拒否しています。個々の出来事の解釈はあり得るにしろ、全体を通してあるものはただの雰囲気だけと思います。巻末の解説もとまどい気味のような。が、サラ・ウォーターズの世界は楽しめます。「象は忘れない」アガサ・クリスティー ★★★☆
最後に執筆されたポアロものだそうです。プロットは今ひとつのように感じましたが、円熟の描写がそれを補ってます。「グラスホッパー」伊坂幸太郎 ★★★★
『マリアビートル』の姉妹編。こちらの方が書かれたのも物語の順序も先になります。お話しとしては、それぞれ独立しています。「茶色の服の男」アガサ・クリスティー ★★★★
あまり期待していなかったノンシリーズもの。なかなか面白いじゃないですか。かの有名作品に通じるものがあるなと思ったら、解説でもそのように言われていて、そういう位置づけになるようです。ジュニア版もあるそうですが、このまま中学生でも楽しめそうです。5月
「隠し剣孤影抄」藤沢周平 ★★★★★
映画になった『隠し剣鬼ノ爪』を含む短編8作。ほとんど40~50頁程度の中に、背景・経緯、達人の立ち会い、秘剣そして欲と愛憎がうまく盛り込まれています。『女人剣さざ波』がよかったです。「コブラ」(上)(下)フレデリック・フォーサイス ★★★★
麻薬のお話し。考えさせられます。「殺人は容易だ」アガサ・クリスティー ★★★☆
RPGのように動き回って話を聞くうちに、次第に事件の姿が浮かび上がってくるという、クリスティお得意の手法。終盤はサスペンス要素も加わって楽しめます。しかし、(さして意外でもない)意外な人物を真犯人にするために無理をしたなぁ、と思います。「ニッポン樫鳥の謎」エラリー・クイーン ★★☆
「新潟怪談」石動充徳外6名 ★
誠に他愛もないお話でした。「ヒッコリー・ロードの殺人」アガサ・クリスティー ★★★☆
クリスティーには珍しく、ロンドンの下宿が舞台です。下宿人の若者が大勢登場するのですが、これが覚えられず、難儀しました。6月
「弥勒の掌」我孫子武丸 ★★★★☆
あら探しもできますが、いや、なかなかの佳作です。
少ない登場人物で、シンプルに話は展開します。中心人物の描写もよいです。若干叙述トリック要素あります。「誰の死体?」ドロシー・L・セイヤーズ ★★★
トリックのためのトリック。雰囲気を楽しめるかどうかです。「隠し剣秋風抄」藤沢周平 ★★★★★
『隠し剣孤影抄』の姉妹編です。「ゴルフ場の殺人」アガサ・クリスティー ★★★★
ポアロ長編第2作。非常に凝ったお話しです。
創元推理文庫で読んだのですが、巻末の『クリスチィ訪問記』もよかったです。
- 2024年01月16日本R5/7-12
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7月
「三体0 球状閃電」劉慈欣 ★★★★★
三体との関連はほとんどないですが、これはこれで面白かったです。「塞王の楯」今村翔吾 ★★★★★
うまいです。型にはまった登場人物達の型どおりのやり取りが、いちいちかっこいい。合戦も工夫が凝らされています。登場人物に悪人がいないというのも珍しい。多少の突っ込み所は感じましたが、とにかくロマンを感じさせる王道時代小説でした。「世界推理短編傑作集4」江戸川乱歩・編 ★★★★★
”奇妙な味”の作品が多めですが、どれも楽しめました。『密室の行者』は(実現性ゼロですが)実にユニークなトリックでした。8月
「不実在探偵の推理」井上悠宇 ★★★
サラッと気楽に読めます。「そして医師も死す」D・M・ディヴァイン ★★★☆
うまいと思うのですが、読んで爽快感、共感、哀感等々を感じないです。どこか他人事のような感じ。「体育館の殺人」青崎有吾 ★★★★
以前から気になっていた作品ですが、おじさん向けでなさそうで遠慮してました。
いろんな意味で思ったとおりでしたが、思った以上に面白かったです。文がシンプルでテンポよく、さくさく読めます。「第三の女」アガサ・クリスティー ★★☆
変わった趣向の作品。解決されるべき謎が明示されないまま物語は進みます。一体何が謎なのか、読者はそこから考えなくてはなりません。9月
「水族館の殺人」青崎有吾 ★★★
読者挑戦型式の作品だと、予想が外れたときについつい辛口評価したくなるので、そこは割り引いて考えなければと思いますが、正直かなり推理、論理、解明に粗があるように思います。そういうものと思って読むのが吉。文章や雰囲気は好きです。「満潮に乗って」アガサ・クリスティー ★★★☆
傑作となり得るポテンシャルのある作品と思います。惜しかった。「風ヶ丘五十円玉祭りの謎」青崎有吾 ★★★★
ミステリ風味のライトノベル(?)として。「図書館の殺人」青崎有吾 ★★★☆
今月は青崎有吾月間になってしまいました。
天馬君の過去は今後に持ち越しのようですが、続きは出るのでしょうか。「親指のうずき」アガサ・クリスティー ★★★★☆
トミーとタペンスもの。期待以上に面白かったです。10月
「罪人の選択」貴志祐介 ★★★★☆
中編集『夜の記憶』『呪文』『罪人の選択』『赤い雨』。よかったです。「杉の柩」アガサ・クリスティー ★★★★
TVドラマ版を思い出しながら読みました。
原題『SAD CYPRESS』はシェークスピアの作品から取られたものだそうですが、直訳すると『悲しい糸杉(orヒノキ)』とでもなるところ、結構ひねりましたね。「自由研究には向かない殺人」ホリー・ジャクソン ★★★★★
主人公のキャラがよいです。巻末の解説では、その魅力を”フェアネス”という言葉で表していますが、成る程と思います。
それにしても、殺人事件を自由研究の題材にするとは、日本ではフィクションにしても思いつかないところです。「アリバイ崩し承ります」大山誠一郎 ★★★
スマホ、防犯カメラ、Nシステム、DNA鑑定等により、現代では不可能犯罪を実現するトリックの創造は極めて難しいです。クローズドサークル等にはこれらを回避する役割があるわけですが、本書ではこれらは全て触れないことで回避しています。なかなか潔いです。が、アリバイトリックはいささか技巧的過ぎる嫌いがあります。「ヘラクレスの冒険」アガサ・クリスティー ★★★★
ポアロもの連作短編集。TVドラマ『ヘラクレスの難業』は本書の中からいくつかのエピソードを取りだして、作り直した長編ドラマになります。11月
「ジャンピング・ジェニイ」アントニイ・バークリー ★★★★
序盤は普通のミステリっぽいのですが、次第にミステリの王道から逸れていきます。それが面白いのです。「11文字の檻」青崎有吾 ★★★★☆
ノンジャンルの中短編(min:3p~max:102p)。裏染天馬シリーズとは違った趣きです。恋澤姉妹がお気に入り。「魔術館の一夜」泡坂妻夫 ★★★
マジシャンにしてミステリ作家であらせられる泡坂氏の作品。かつて読んだ『しあわせの書』『生者と死者』には驚嘆させられました。本書もミステリと思って読み始めたら、マジックの本でした。マジックの世界の片鱗と作者の造詣の深さは感じられました。「NかMか」アガサ・クリスティー ★★★
話の内容は今一つでしたが、トミーとタペンスは好きなのです。「11枚のとらんぷ」泡坂妻夫 ★★★★
人を楽しませるのが大好きという作者の人柄が感じられる佳品。12月
「愛国殺人」アガサ・クリスティー ★★★☆
ちょっと凝り過ぎかもしれません。「女彫刻家」ミネット・ウォルターズ ★★
文章はうまいと思います。読み進む内、事件の謎解明に向けて期待が高まります。ですが読み終わって感じたのは、”ん?なんだこれは?”。一応の犯人は呈示されます。が最後は他の真相を仄めかします。途中いくつか思わせぶりの記述もありました。が、それらに合理性を感じるだけの材料は出てきません。本作の重要ポイントと思った陰惨な殺人現場はどうやって、なぜ生じたのか説かれるところがありません。何が彫刻家を彫刻家たらしめているのかも読めるものと思ったのですが…。これらはただの雰囲気作りだったのでしょうか。
もやもやした気分のまま解説(?)を読んで驚きました。これほど作者・作品を貶した解説は見たことがありません。自分の感じたもやもやの元だけでなく、更に厳しい批判が書かれており、全面的にではないですが、正直頷けるところもありました。「黒牢城」米澤穂信 ★★★☆
戦国時代を舞台にしたミステリ小説ですが、時代小説として楽しむのが吉。「死が最後にやってくる」アガサ・クリスティー ★★★★★
『黒牢城』は約450年前の日本戦国時代が舞台でしたが、こちらはなんと約4000年前の古代エジプトが舞台です。クリスティーにこんな作品があったとは。
当時の習俗が興味深く描かれています。事件の謎はかなり分かり易いのですが、特殊設定の物語にはマッチしています。漫画のキャラクターのような登場人物達も生き生きとして、古代エジプトに想いを馳せさせられます。小中学生でも楽しめそう。「優等生は探偵に向かない」ホリー・ジャクソン ★★★★☆
『自由研究には向かない殺人』の続編。よかったですが、自分は第1作で描かれた主人公の方が好きです。その辺も第3部次第かもしれません。物語は傷心の主人公とともに第3部へ。「卒業生には向かない真実」ホリー・ジャクソン ★★★★☆
(読了は2024/1/1だが、こちらに書く)
それぞれ異なる味わいの3部作でした。本作では主人公の内面の闇がくどいほど書かれ、もちろん作者はやや不合理とも見える全体のプロットを支えるため意図してやっていることなのでしょうが、冗長さは感じました。それでも作者の挑戦心は評価したいです。物語の後半は『ジャンピング・ジェニイ』を思い出してしまいました。
- 2023年07月31日本R5/1-6
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2023年
1月「地球星人」村田 沙耶香 ☆
こういう作品が好きな人もいるのでしょう。それはいいですが、自分にはあいませんでした。主題は分からなくもないですが、世の中にも読者にも挑戦的な作品と思います。作者や作品についてもう少し予備知識があれば。「ねじれた家」アガサ・クリスティー ★★★★☆
ポアロもマープルもいません。というか探偵がいません。犯人は誰か以外の謎もトリックもありません。しかし読ませます。もっと評価されるべき(もしかして評価されていて自分が知らなかっただけ?)佳作。「半身」サラ・ウォーターズ ★★★★★
舞台は1870年代英国。主要登場人物はほとんど女性。主な場面は三つの建物の中。いずれも閉鎖的。中でも刑務所の描写はリアリティが高く、引き込まれます。陰鬱で耽美的。面白いです。ただ帯に書かれているのと違って、自分にとっては「ミステリ-」ではないです(ミステリ-の定義の仕方に帰着するだけですが)。「世界推理短編傑作集3」江戸川乱歩・編 ★★★☆
ヘミングウェイの作品が収められているのは意外でした。
『偶然の審判』の長編版『毒入りチョコレート事件』を読んでみたくなりました。2月
「荊の城」(上)(下)サラ・ウォーターズ ★★★★☆
前作『半身』と同じく若い女の子が監禁、軟禁されます。前作に輪をかけて暗く、痛々しく、官能的です。が、楽しめる線としてはギリギリです。表現力は相変わらず高く、目、顔、指、心臓、血液等々様々な描写で人物の感情を伝えます(そこには落とし穴もあるのですが)。筋立てはかなりトリッキーで、正直無理を感じるところもありますが、作者の筆の力でまとめ上げています。「毒入りチョコレート事件」アントニイ・バークリー ★★★★
先月読んだ短編『偶然の審判』の長編版。ミステリマニアなら色々と語りたくなるであろう作品と思います。ですが、(マニアではないので)その辺りは触れません。面白いことは請け合いますが、作者の思惑・思想が強く滲み出ているのを是とするか否とするか。「新世界より」(上)(中)(下)貴志祐介 ★★★★
かなりのボリュームですが、ほとんど一気読みで、エンターテイメントとしては大いに楽しめました。文章は軽快で、雰囲気は青春冒険小説のようです。しかし読後の満足感には欠けました。序盤で想起した『地球の長い午後』風の、こういう条件下では生物、社会はこうなるのではないかという説明、考察が、様々な生物につき随所で、ヒトについては物語全体で行われ、そこにストーリーをからめていくのですが、難しかったのでしょう。もし本作が現代の価値観への挑戦、相対化を一つのテーマとしているのならば、自分にはあまり響かなかったです。本書のターゲットとなるような読者層から自分はとうに外れているのでしょう。辛口になりましたが、面白かったです。3月
「人類の起源」篠田謙一 ★★
「キャリー」スティーヴン・キング ★★★★☆
昔映画は見ましたが、小説は未読だったところ、BOOKOFFで見かけて。
作品とは関係ないですが、最後の解説がやたら長いです。「緑衣の女」アーナルデュル・インドリダソン ★★★☆
同じ作者の『湿地』を読もうかと思っていたところ、BOOKOFFで見かけたので。
なかなかの良作で様々な賞をとったのも宜なるかな。しかし、自分が読みたい話ではなかったです。4月
「忘られぬ死」アガサ・クリスティー ★★★
名探偵の登場しない所謂ノンシリーズものですが、ポアロものの短編『黄色いアイリス』とそっくりな話です。意外性のある犯人、巧みな人物描写で良作とは思いますが、トリックに説得力がありません。「黄昏の彼女たち」(上)(下)サラ・ウォーターズ ★★★☆
サラ・ウォーターズの作品を読むのは『半身』『荊の城』に次いで三作目ですが、前の作品の魅力となっていた独特の陰鬱さがないのは残念でした。あと、やはりというかの共通点があり、『荊の城』で楽しめるギリギリと感じたそれが出すぎて、若干引いてしまいました。心理描写は流石です。5月
【傘鉾『マリオ』作成】
「君のクイズ」小川哲 ★★★★☆
知られざる早押しクイズの世界。求められるのは単なる知識ではない。
面白かったです。「遮断地区」ミネット・ウォルターズ ★★★★☆
いくつかの点でよく分かりませんでしたが、緊迫感はありました。6月
「鋼鉄紅女」シーラン・ジェイ・ジャオ ☆
二人以上の操縦者が巨大ロボットを動かすというのは、一つの系譜になっているのてしょうか。見たようなロボットの造形、三段階に変形進化するロボット。うーん、安易な気もしますが、大事なのは中身ですね、うん。期待して読みましょう。
序盤から中盤までは面白く読めました。特に戦闘シーンの描写はなかなか。
が、女性主人公と二人の男性の三角関係が出てきたあたりから、次第に自分の気持ちは離れていきます。なんとも主人公に都合のよい三角関係です。
また、男性が築いた独善的社会への反抗が繰り返し唱えられるのですが、あまりにも頻繁で表層的なので次第に鼻白んできます。男性に対する概念は、女性ではなく、死んだ姉に象徴される若い女子です(ただし、その時々で使い分けられているような)。若い女子は観念的な存在で、無垢な犠牲者として位置づけられます。物語の設定上強く虐げられた立場にあるのですが、そこに現実の男尊女卑の習慣や倫理を融合させ、男性の悪を強く主張します(なかなか巧妙です)。このロジックは主人公の場当たり的な言動を正当化するために使われるのですが、そんな理屈では受容できないほど、主人公と物語は破綻していきます。そして、とってつけたようなラストで物語は空中分解します。「ブラウン神父の醜聞」G・K・チェスタトン ★★★☆
「死人の鏡」アガサ・クリスティー ★★★☆
中編集。『厩舎街の殺人』『謎の盗難事件』『死人の鏡』『砂に書かれた三角形』の四作。旧訳版のせいもあるのか、表題作の「死人の鏡」は分かりにくかったです。引用されているテニスンの詩”鏡は左右にひび割れた”はマープルものの『鏡は横にひび割れて』にも使われてるものですね。
- 2023年05月22日R5傘鉾 マリオ
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4年ぶりの御神幸。
今年の傘鉾は、マリオを作りました。
- 2023年01月16日本R4/10-12
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==星の数は自分に合ったかどうかにより、作品の一般的評価からは外れています==
10月
「レンブラントをとり返せ」ジェフリー・アーチャー ★★★☆
「魔術の殺人」アガサ・クリスティー ★★★
マープルもの。登場人物の関係が複雑でとっつきにくかったです。トリックは素直で、もっと裏があるのではと思いながら読んでいましたが、そのままでした。「詭弁の論理学」野﨑昭弘 ★★★
読み始めたのは8月だったと思います。中断しつつようやく読了。
1976年初版発行以来のロングセラーということですが、若干期待外れでした。「隅の老人の事件簿」バロネス・オルツィ ★★★★
【シャーロック・ホームズのライヴァルたち】と銘打たれたシリーズの1冊。「おしどり探偵」でも触れられてます。
女性新聞記者が事件の説明をして隅の老人が解決するものと思い込んでましたが、実は事件の内容から解決まで隅の老人がほとんど一人で語ります。なので人物描写は浅いです。が、いいのです。隅の老人のキャラだけで。トリックは(多少強引な点があっても)各作品ともちゃんと作られています。ただ似たようなネタが多い気はします。
**1月に本棚の奥から別に同書を発見。既読でした。「幸運の25セント硬貨」スティーヴン・キング ★★★★
もう少しスティーヴン・キングを読んでみよう。11月
「ウォッチメイカー」ジェフリー・ディーバー ★★★★☆
埋もれていた本を発掘。15年前のものでした。内容はおろか存在さえも記憶に残っていなかったのですが、読み始めたら出だしに覚えがあったので読んではいたようです。
改めて読んだ感想は、アメリカっぼいっというかハリウッドっぽいというか。表現力、描写力は高いと思います。**TVドラマ化にあわせて「invert 城塚翡翠倒叙集」「invert 城塚翡翠倒叙集」を流し読み。ドラマはなかなかよいです。「invert・・・倒叙集」の最終話は映像化難しそうですが…。
「思考機械の事件簿Ⅰ」ジャック・フットレル ★★★★
これも【シャーロック・ホームズのライヴァルたち】と銘打たれたシリーズの1冊。多様な事件、アイデアがあって面白かったです。中には無理があるのではとというのもありますが。『十三号独房の問題』が収録されていなかったのが残念。12月
「世界推理短編傑作集1」江戸川乱歩・編 ★★★★☆
『十三号独房の問題』目当てで購入。他に隅の老人の『ダブリン事件』もあって得した気分。しかし一番面白かったのは、今更ながら懐かしの『赤毛組合』だったりします。*コロナ感染療養12/4~12/11
「1922」スティーヴン・キング ★★☆
中編の『1922』と短編の『公正な取引』が収められています。
『1922』は、1920年代の田舎の農家の描写が興味深かったですが、作品としては自分には今一。むしろ『公正な取引』の方が面白かったです。「invert II 覗き窓の死角」相沢沙呼 ★★★☆
翡翠の思想が繰り返し語られ、過去をほのめかす記述が多いのは今後への布石なのでしょうか。「世界推理短編傑作集2」江戸川乱歩・編 ★★★☆
やはりチェスタトンは独特の味があります。
- 2022年10月06日本R4/7-9
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7月
「第四の核」(上)(下)フレデリック・フォーサイス ★★★★★
読ませます。最後ひねり過ぎの感もありますが。「悪魔の選択」(上)(下)フレデリック・フォーサイス ★★★★☆
ウクライナとロシアについての理解が深まりました。「愛の探偵たち」アガサ・クリスティー ★★★★☆
短編集。マープル物がよかったです。8月
「イヴリン嬢は七回殺される」スチュアート・タートン ★★
西澤保彦「七回死んだ男」と同じくタイムループもの。本書はかなり複雑で凝っています。作中、子供達の宝物探しに触れられていますが、本書自体が作者の仕掛けた宝探し遊びなのでしょう。読者をさんざん振り回してくれます。しかし最後に得られるものはありません。「戦場の犬たち」フレデリック・フォーサイス ★★★★
渋いです。「教会で死んだ男」アガサ・クリスティー ★★★★
短編集。ポアロ物はドラマで見たものがちらほらと。9月
「三体 X 観想之宙」宝樹 ★★★☆
三体ファンが創作したスビンオフ。
ほとんど二者の対話になっているのが特徴的です。
最初はスピンオフとしての制約か窮屈そうに感じられましたが、段々と逆にスピンオフだからと開き直って無責任さが強まっていった印象で、読後感はよかったです。にしても第1部は無駄に長いと思いました。「神の拳」(上)(下)フレデリック・フォーサイス ★★★★☆
神の拳>>ずんどこ節の連想で、読んでいる間何度かずんどこ節が脳内再生されてしまいました。「老神介護」劉慈欣 ★★★★★
「流浪地球」劉慈欣 ★★★★☆
「三体」の作者劉慈欣の短編集。着想の豊かさに舌を巻きます。「スマホ脳」アンデシュ・ハンセン ★★★★☆
利便性の対価として自分達は何を失っているのだろうか。「おしどり探偵」アガサ・クリスティー ★★★★
ストーリーはそれなりですが、主人公のトミーとタペンスが魅力的で、楽しく読めます。何人もの名探偵が物まねの対象として出てくるのですが、知らない人が多かったです。
- 2022年07月15日本R4/4-6
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- 2022年04月05日本R4/1-3
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2022年
1月「死のロングウォーク」スティーヴン・キング ★★★☆
100人の少年がひたすら歩く。速度が落ちると警告を受ける。警告が貯まると射殺される。最後の1人になるまで続けられる。
ストーリーは単純ですが、特異な状況設定と人物描写に惹かれる作品です。
かつて夜間50kmハイクをした経験が思い起こされました。「北条義時と鎌倉幕府がよく分かる本」歴史の謎を探る会(編) ★★★★
大河ドラマに影響されて、鎌倉幕府成立期を勉強するために。
複雑すぎて一読したくらいでは理解できません。とにかく抗争に次ぐ抗争に明け暮れていたことは分かりました。「牧師館の殺人」アガサ・クリスティー ★★☆
マープルの長編。若干期待外れ。「華氏451度」レイ・ブラッドベリ ★★
名作の呼び声高い近未来ディストピア小説ですが、自分には合わなかったです。もっと若い頃に読んでいたらまた違ったかも。「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(上)・(下)アンディ・ウィアー ★★★★★
著者は、映画「オデッセイ」の原作「火星の人」(未読です)の作者。現在と過去を交互に語る展開に最初は”またか”という気持ちになったのですが、実に分かりやすく(思い出して語られる過去も読者に優しく順序よく思い出してくれる)、読みやすい。いい話でした。2月
「ポアロのクリスマス」アガサ・クリスティー ★★★★☆
何故かずっと短編集と思い込んでいた長編物。トリックには覚えがありました。TVドラマで見たのでしょう。が、犯人は分かりませんでした。分かるわけがない。そこを楽しむのがクリスティー「火星の人」アンディ・ウィアー ★★★★★
先月読んだ「プロジェクト・ヘイル・メアリー」がよかったので。
今度、映画「オデッセイ」も見てみよう。>見てみましたが、本の方がよかったです。「ブラッド・ミュージック」グレッグ・ベア ★☆
軸となるストーリーがない。主人公がいるような、いないような。数少ない魅力ある登場人物はいつの間にか退場してしまう。ごてごてした複雑な文が目につくと思えば、代名詞や一般名詞が誰を何を指しているのか分からない。
変容した北米の様子や幻想的な記述は悪くなかったですが。「黒い家」貴志祐介 ★★★★★
ホラー小説。普段読まないジャンルですが、傑作でした。文は正確でシンプル。大仰な表現はないですが、行間から怖さが滲んできます。全体の構成もいいです。映画化もされるわけです。生保業界の話も興味深かったです。
作者はミステリーも書いているようなので、今度はそちらを読んでみたいです。番外:映画館で公開されたばかりの「ナイル殺人事件」を観る。やや不満。
3月
「地球の長い午後」ブライアン・W・オールディス ★★☆
「硝子のハンマー」貴志祐介 ★★★★
密室ものです。貴志祐介、やはり上手いです。細部にもこだわって、リアリティが高いです。が、リアリティーを求め過ぎのような気もします。「硝子の塔の殺人」知念実希人 ★★★☆
これも密室もの。評価の分かれそうな作品。帯に島田荘司の名があったこともあり、「水晶のビラミッド」を思い出しました。ミステリの蘊蓄話はあまりディープにならないようにセーブしてるのでしょうが、内輪ネタ感がして若干鼻白んでしまいます。力作ではあります。「硝子の家」鮎川哲也(編) ★★★
本書は、「硝子の家」(島久平)、「離れた家」(山沢晴雄)、「鬼面の犯罪」(天城一)の三作品を収録したものです。「硝子の塔の殺人」を読んでいた時にたまたま発掘し、硝子つながりで読みましたが、以前に読んだ覚えが全くありませんでした。「シャム双子の秘密」エラリー・クイーン ★★★★☆
小学5~6年の頃に読んだことがあります。少年探偵団やホームズを読んだだけの子供にとっては衝撃的な話でした。山火事のこととか全く頭から抜け落ちていましたが、犯人というか作者の仕掛けたトリックは覚えていました。思い出補正で評価高めです。